自分の作品制作は、「やらないとダメになる」という思いから
Junkoさんには娘さんがいらっしゃるんですよね。ママには見えませんが(笑)
子供はずっとほしかったんです。でもその一方で「仕事が減るのがこわい」という気持ちもありました。
女性にとっては悩ましい問題ですよね。産後どのくらいで仕事に復帰したんですか?
産後1ヶ月半です。
クライアントさんもさすがに1ヶ月半で復帰するとは思わなかったようで(笑)、産後すぐの時期は、産前とくらべると仕事量は減りました。だから最初はスローペースで復帰しました。
パワフルですねー! 産後すぐに働くのは辛くなかったんですか?
産後1ヶ月ですでに「ヒマだなあ」と思ってたので、復帰できてうれしかったです(笑)
でもやっぱり、元の仕事量に戻るのに1年くらいはかかりました。私の仕事って人とのつながりが大事なんですが、出産前後は出歩くのが難しかったので、それも原因のひとつだったかもしれないです。
娘は保育園に預けているので、お迎えは主人と私とで、その時に動ける方がやっています。
もしかすると、主人の方がお母さんっぽいかもしれません(笑)
私が出産前と同じように仕事できるのは、主人や、周りの人のおかげです。
Junkoさんは、お仕事以外でも自分の作品を作っているんですよね。
はい。自分の作品制作は、「やらないとダメになる」という思いで取り組んでいます。
私が身を置いているweb業界では、積極的に自分のサイトを作る人は少ない気がします。
えっ、そうなんですか!
私にとっては、自分の作品を作るのが当たり前の感覚なので、作らないのは不思議です。
仕事だけでは、新しい引き出しが増えない気がするんです。歩みが止まってしまうような危機感を持っています。
もちろん、仕事で忙しい時期はどうしても後まわしになってしまうんだけど……「やらなきゃ!」と自分を奮い立たせてやる感じですね。
モデルさんを借りたりヘアメイクさんにお願いしたりすると、もちろんお金はかかるんですが。これはもう仕方ない(笑)
2016年にはアーティスト大河原愛さんとのコラボ作品を発表されましたね。
はい、愛さんとコラボすることで、また違う世界が広がっています。
コラボ作品となると、意見がぶつかったりしないんでしょうか?
不思議なことに、愛さんとはぶつからないですね。きっと好みが似ているんだと思います。
お互いが、相手にとって新鮮なアイデアを出し合って、それを受け入れられる関係です。
一緒にご飯を食べたりしながら、「ああいうことやりたいね」「こういうのもいいね」と、5年くらい構想を温めてたんです。スタートまでにずいぶん時間がかかりましたが(笑)、やりたいことは決まっているので、この後の展開は早いと思います。
今は、自分の中の新しい扉が開く感じで、ワクワクしています。
Instagramには、ときどき娘さんの写真も投稿されていますね。
娘と私がモデルの作品は、ライフワークにするつもりです。
このシリーズは、光とか世界観次第で、ふつうの人でもステキに見えたり、ドラマティックに見えることもコンセプトの1つなんです。見てくださる方が自分自身を投影できるように、できるだけ顔を出さず抽象的に撮っています。
ずっと撮り続けて、最終的には「おばあちゃんとおばちゃんのツーショット」で終わりたいですね。
ただ、最近になって娘の“変顔”ブームが始まってしまって。もう台無し(笑)
このあとの目標は?
フォトグラファーを志したときからの目標の1つでもあるワールドキャンペーン(編集注:日本だけでなく、世界で展開される広告)を撮れるようになりたい!
そして、良い作品——インパクトがあって人の心に残る作品を生み出したいと思っています。
商業写真だと、クライアントの意向がはたらいたりして、自分が思う「良い」から遠ざかってしまうことはありませんか?
確かにそういう面もありますが……。でも、本当にすごい人はそういう枠すらどうでもよくなっちゃうような写真を撮るんです。
もちろん、「モデルはこの人」とか「商品を見せなきゃ」とか色々あるんだけど、そういうのを超越しちゃう。
だから私も、枠を言い訳にしちゃいけないと思ってます。
ポートレートもまだまだ撮りたいし。やりたいことはたくさんあります!
Rico’s Eye
Junkoさんは、パッと花が咲いたような華やかな雰囲気をもった方。でもお話を伺ってみると、若い頃に挫折を経験し、人一倍努力したからこその強さや明るさがそう見せるのだと分かりました。
ひとつの目標に対して、迷うことなく真摯に努力し続ける人にしか到達できない場所がきっとあります。
私もJunkoさんに負けないよう、やりたいことをきちんと口に出してがんばろう! そんな勇気をいただきました。ありがとうございます。
インタビュー/編集 千貫りこ
Photography by Yusuke Mitome