自分でどうにかしてお金をうみだすことも可能なんです
前回の最後に海外の話が出ましたが、やはり海外の情報収集には英語が欠かせませんよね。
そうですね。僕も英語は地道に勉強しています。
イヤホンで英語のニュースを聞きつつ、ブツブツつぶやきながらその辺を歩いてたりしてますよ(笑)
そういえば、僕はテレンテレン歩いているせいか、よく海外の方から話しかけられるんです。しょっちゅう道を聞かれるし、観光地に行くとかならず写真を撮らされる。
少し前に、沖縄のバスの中で外国人のお姉さんから「トイレに行きたいんだけど」と話しかけられたときは大変でした。「バスの中にはトイレが無いから、次の停留所で降りてどこかでトイレを借り、30分後に来る次のバスを待たないといけない」みたいな込み入った話をしなきゃいけなくて。
そういう意味でも英語は勉強しておかないとダメですね(笑)
沖縄の話が出ましたが、昨年から今年にかけて沖縄と東京を何度か往復されてましたよね?
はい、2013年の10月から今年の春先まで。
とあるプロジェクト絡みなんですが「沖縄に集まって合宿しよう」ということになったので、主旨に賛同してくれたスタッフ数人と共同生活していました。
この呼びかけに応えてくれた人たちは、年齢もバラバラだし得意なこともさまざまです。
あえてそうした面もあります。いろんなことを考えて実行するのに、似たような人が集まっても仕方ないからね。
同業者や同年代ばかりじゃなく、いろんな人とつきあって話を聞くことって大事だと思います。僕自身、そうやって集まってみて10歳下の人から教えられることもありますし。
どんな仕事でも、いわゆる「コミュニケーション能力の高い人」が求められているのは間違いないですよね。ふだんからいろんなバックグラウンドを持つ人たちと交流して、コミュニケーション能力を磨いておいて損はないと思います。
では最後の質問を。こもりさんは長年フリーランス活動されてますが、これまでにピンチを迎えたことはありますか?
フリーになって14年になるけど、収入面では今が一番ピンチです(笑)
昨年1年間、沖縄でのプロジェクトのために新規の受託の仕事を一切お断りしていたので。昨年はたぶん実質1〜2ヶ月くらいしか仕事してなくて、他の期間はプロジェクトや勉強にあててました。
でもそのおかげで、「ん? そんなに収入が多くなくてもそこそこ生きていけるぞ」と気づいちゃった(笑)
ひとりだし、物欲も食欲もそんなにないし、ますます収入に固執する気がなくなってきました。とはいえ、老後のこともそろそろ考えておかないとね……。
まあそんなわけで昨年はお休みしてたんですが、そろそろエンジンかけようと思ってます。
具体的に、まず考えているのは電子書籍の出版です。
電子書籍は数年前から興味を持っていたけど、最近になって、より簡単に電子書籍をつくれるツールとか決済のしくみが出てきたので、そろそろ本格的にやってみようと。まずはWeb制作がらみで3部作を書くつもりです(編集注:3部作の前に緊急リリースされた第0弾『Sketch 3 Book for Beginner』が発売中です)。
こんな風に、たとえ受託の仕事が無くても、僕らみたいな仕事は自分でどうにかしてお金をうみだすことも可能なんですよね。今ならLINEのスタンプなんかもあるし、もっと大きなフィールドで勝負することだってできる。
Webサイト制作の仕事が無いからといって、どうにもならないわけじゃない。
ちょっと話が飛びますが、4月に消費税が増税されて電車賃も値上がりしました。でも改札をカードで通るのと券売機で買ったキップで通るのとでは支払う運賃が違う。システム上どうしようもないことなのかもしれないけど、これってすごく不公平じゃないですか?
使えないがゆえに、そして知らないがゆえに損をしている人に対して、僕は「やーいやーい」とは思えない。
これは気持ちの話だけではなくて、誰かの知識を底上げすることはその人をハッピーにするのと同時に、自分自身の仕事にもつながると考えています。
「教えてあげたい」自分と「教えてほしい」誰かがいれば、そこに仕事が生まれるかもしれませんよね。
Rico’s Eye
知名度も実力も数段上の存在ですが、こもりさんとは縁あって仲よくさせていただいています。こもりさんは一見クールですが、話せば話すほど優しくて熱いハートの持ち主。それを再認識するインタビューになりました。この記事をとおして、こもりさんの愛ある心意気が少しでもたくさん伝わればうれしいです。
インタビュー/編集 千貫りこ
Photography by Sivacchi