Junko Yokoyamaさん

コミュニケーションをとりながら撮影するのが好き

12月とは思えない、日差しのあたたかな某日。ゲストのJunkoさんがオーナーを務めるレンタル撮影スタジオ「Studio Union」に伺いました。
なんとも居心地の良い空間でインタビュースタートです!

まずはJunkoさんが得意とする写真を教えてください。

私の仕事は、90%が人物写真です。被写体はモデルさんやタレントさんなどですね。
特にファッション寄りだったりイメージ寄りの、世界観を作り込むような写真が多いです。広告、カタログ、雑誌、音楽関係など幅広い媒体で撮影しています。

プロの写真家になった当初から人物写真を撮りたいと思っていたんですか?

そうですね、私は人が好きなので。
師匠は2人いまして、1人は人物が得意な方、もう1人は物撮りが得意な方です。だから両方の現場を経験したけど、早い段階から、自分は人とコミュニケーションをとりながら撮影するのが好きなんだと気づきました。

あと、昔からキレイな人やカッコイイ人が大好きなので、人物写真の方が気分がアガります(笑)

「コミュニケーションをとるのが好き」ということですが、コミュニケーションで写真の善し悪しは変わるものですか?

それは一概には言えないですね。人によってはグイグイ近寄ってこられるのが苦手な方もいるので……。そういうときは空気を読んで遠慮します。

海外のスターだったりすると撮影時間が1分しかない場合もあるので、そういうときはコミュニケーションどころではないですし。「とにかく撮らなきゃ!」って。

コミュニケーションといえば、テレビで「いいよいいよ、かわいいね」とか言いながら撮影するカメラマンを見たことがあるんですが(笑)

あー! それは私も言っちゃう(笑)
でも、撮られる側も「これでいいのかな」という不安があると思うんです。だから、実際に「いい」と思ったらしっかり意思表示します。

「もう一歩、何か足りないな」と思った時はモデルさんに写真を見せて相談しちゃったりして、一方通行な撮影にならないよう心がけています。

被写体がモデルさんとタレントさんでは、何か違いがありますか?

モデルさんは、こちらが「こんな感じにしたい」と言えば近づけようとしてくれるしその技術があるけど、タレントさんは写真に撮られること自体がそもそもお好きでなかったり、苦手な方もいらっしゃいます。なので、その方の雰囲気を感じ取りつつゴールを探していく感じでしょうか。

コミュニケーションについては、「こうしたら必ずうまくいく」という方法論はありませんね。人間同士だから相性もあるし。でも、できるだけ現場を楽しく盛り上げるようにしています。

webのお仕事もやられるそうですが、雑誌などの紙媒体とwebでは違いがあるんですか?

今は「雑誌や広告で紙媒体にもなるけれど、webでも使用します」ということがほとんどなので、“webの仕事”“紙媒体の仕事”と分かれている感じはなくなってきているんですが……webだからといって、ほとんど変わらないですよ。違いがあるとすれば、webの方が納品用のデータが軽いことくらいかなあ。
あっ、そういえばwebは枚数が多いですね。サイトだけじゃなくてInstagramなどのSNSに掲載するための写真も必要なので。

撮影後の流れは、媒体に関係なく、まずは「粗セレクト」といってこちらで選んだ写真をいくつか提出します。そこからクライアントさんが絞って、納品する写真が本決まりになったらレタッチ(編集注:写真の汚れを取り除いたり、色調を調整する、といった加工作業)に移ります。レタッチは、私がやることもあるし、レタッチャーさんにお願いすることもあります。

先ほどお話ししたとおり、webは枚数が多いぶんたくさんレタッチしなきゃいけないので、ちょっと大変かも。
クライアントさんは「どうせ縮小して掲載するからそんなに頑張らなくていいよ」と言ってくださるんだけど、大きくても小さくても、基本的にやらなきゃいけないことはそう変わらないんです(笑)

これまでにたくさんの現場を経験されてると思うんですが、印象的な撮影の話があれば。

活動を始めてすぐのころから、「いつかビルボード(編集注:屋外広告の看板など)になる写真を撮りたい」と思っていました。その夢が初めて叶ったのが丸井さんのお仕事だったんですが、さらにうれしかったのはモデルが松雪泰子さんだったんですね。

私、子供のころからずーっと松雪さんが大好きだったんです! だからつい緊張して、松雪さんに右と左を間違えて指示を出してしまいました。
「きっと、今ならもっとうまくやれるのになあ」と思うと悔やまれます。

雑誌『週刊朝日』の表紙の撮影もうれしかったです。ご存知だと思いますが、篠山紀信さんなど、名だたる方たちが撮ってきた表紙ですからね。
お世話になってるアートディレクターさんの紹介でコンペに参加できて、そのおかげで選んでいただいたんですが、今でも大切な思い出になっています。

お仕事って、コンペで決まることが多いんですか?

コンペもありますし、いつも声をかけてくださるクライアントさんからの直接の依頼も多いです。

コンペの場合は、今までの作品を提出して、クライアントさんに決めてもらうことがほとんどです。
コンペのために何か特別な準備をしなきゃいけないわけじゃないんだけど、コンペに参加するからには撮影時期のスケジュールを確保する必要があるので、落選したらそのスケジュールがぽっかり空いてしまうんです。大きめの仕事だと1週間くらい押さえられてしまうので、落選すると辛いです。

うわ、厳しいですね! 逆に飛び込みの仕事もあるんでしょうか?

ありますあります。雑誌だと「3日後にお願いします」とか(笑)
被写体がタレントさんの場合、スケジュールがギリギリまで決まらないので、そういうことはよくあるんです。

インタビュー/編集 千貫りこ

Photography by Yusuke Mitome

Profile

Junko Yokoyama
フォトグラファー

鹿児島にうまれる。
NYにて写真をはじめる。
NYにてアシスタント経験を積みフォトグラファーとしても活動を始める。
2006年より東京に拠点を移す。
ストーリー性のある作風と美しい光に定評があり、数多くのファッションブランド、雑誌、著名人、広告などを撮影している。
http://www.junkoyokoyama.net

アーティストマネジメント事務所 Lorimer management+ 代表。
レンタルハウススタジオ Studio Union の経営もしている。

2017年1月7日〜1月28日、アメリカ LA の Hive Gallery & Studio にてアーティスト大河原愛とのコラボレーション作品を展示中。
Hive Gallery & Studio:
729 S Spring St, Los Angeles, CA 90014

Place

今回の対談スペースは「Studio Union」。
渋谷から車で15分、世田谷区若林にあるブルックリンとシャビーフレンチの要素をミックスした24時間撮影可能なレンタル撮影スタジオです。

4面採光になっており、ワンフロアすべての場所に自然光が一日中差し込みます。白を基調としながらも、レンガ壁や古木壁、グリーンルームなど様々なテクスチャーで色々なシチュエーションを、撮影できるよう設計されています。

ここは、Junkoさん自身が「こんなスタジオがあったらいいな」という理想を詰め込んでつくったスタジオだそうです。 しかも、Junkoさんやスタッフのみなさんが壁や天井を塗ったりして、プロの助けを借りながらも手作りで仕上げたんですって!

世田谷区若林2−38−11 若林ビル3F
03-5787-8950
contact@studiounion.net
http://studiounion.net/

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